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2018年日本経済見通し清水コンサルティング・グループ株式会社|東京

2018年の日本経済は、緩やかな回復が見込まれる。世界経済の悪化や人手不足が懸念される。回復は続くものの実感は乏しい。雇用情勢や企業業績とも良好で、五輪需要の本格化が景気を押し上げる。景気下振れリスクは海外経済の動向が考えられる。

         2018年日本経済の見通し

世界経済の悪化・人手不足による供給制約に注意

2018年の景気は、五輪需要が本格化していくことに加え、企業業績の拡大が続くことを背景に企業の設備投資が増加基調を維持するため、緩やかな回復の動きが続く。輸出も、世界経済の回復の継続を受けて緩やかなペースで増加する見込みです。

ただし、地政学リスク、米欧の政治混乱、中国の景気失速などによる世界経済の悪化、人手不足の深刻化による供給制約といった景気下振れリスクには注意が必要です。

回復は続くものの、実感には乏しい

2017年中も景気の回復が続いたことで、1212月に始まった景気回復局面は、9月時点で58ヵ月間に達した。これは、高度成長期のいざなぎ景気(196510月からの57ヵ月)を抜いて戦後2番目の長さである。

しかし、今回の局面での回復のペースは、過去の回復局面と比べると鈍い。いざなぎ景気や、戦後4番目の長さのバブル景気(1986年H月からの51ヵ月)とは時代が大きく異なるため単純な比較はできないが、主に小泉政権下にあった過去最長の景気回復期間(20

021月からの73ヵ月)と比較しても、実質GDPの伸び率は低い(図表)。2017年の日本経済を振り返ってみると、年間を通じて景気の回復が続いたものの、それを実感するほどの勢いには欠けていたといえよう。

回復力の弱さの原因は、個人消費の伸びが弱いためであり、その背景にあるのが過去と比較して賃金の上昇率が低いことである。

雇用情勢・企業業績とも良好

ただし、賃金の動向に影響を及ぼす雇用情勢および企業業績については、2017年中はいずれも良好な状態が維持された。 まず雇用情勢をみると、労働需給のタイト化か進み、すでに労働の意思と能力がある人全員が職に就いている完全雇用の状態にあると考えられる。

失業率は2017年に入って2.8%まで低下した後も同水準での推移が続いており低い状態で安定している。また、有効求人倍率は10月時点で1.55倍まで上昇しており、すでにバブル期のピークであった1.46倍を超えている。

企業業績は拡大が続いている。2016年度に過去最高益を更新したが、その後も勢いは衰えておらず、17年度も過去最高益を更新すると見込まれる。業績が拡大しているのは、これまでのリストラ効果によって収益力が高まっていることに加えて、製造業では輸出の増

加を受けて、非製造業では国内需要の持ち直しを受けて、それぞれ売上高が増加しているためである。それでも企業の設備投資に対する姿勢は慎重であり、設備投資は緩やかな増加ペースにとどまっている。結果的に、企業の内部留保の増加が続いている。

五輪需要の本格化が景気を押し上げ

2018年も景気回復は続くと予想される。中でも、東京2020オリンピック・パラリンピック開催を控えて、関連施設の建設が本格化するほか、交通、通信などのインフラ関連投資、需給の逼迫しているホテル、オフィスビルな、|どの建設投資、首都圏での再開発案件の増加などが景気の押し上げ要因となる。

また、企業業績の拡大が続くことを背景に、人手不足への対応のための投資や、AIIOTの活用を促進させるための研究・開発投資の増加が続き、景気の押し上げ要因となるであろう。

家計部門については、賃金動向が鍵を握る。年明けの春闘をにらみ、政府は今回も企業に対し賃上げを要請しており、3%以上の賃上げなどの条件を満たした企業に対し税負担を軽減する!

制度の導入を閣議決定した。しかし、企はこれまで固定費の増加を懸念し、賃上げ率を小幅に抑制してきた。2018年の春闘において5年連続でベースツプが達成されることは確実ではあるがヽ企業の慎重姿勢が大きく変わることは考えづらく、大幅な賃上げには至いであろう。

雇用者数の増加を反映して、家計部門全体での所得の増加基調は続くため、個人消費は底堅さを維持できる見込みである。しかし、景気全体をけん引するほどの力強さはない。

輸出は、世界経済の回復の継続を受けて緩やかなペースで増加する見込みである。もっとも、生産拠点の海外移転の影響などから、増加ペースが急速に高まることは望めない。一部の製造業にみられる生産の国内回帰の動きは、輸入コストの増加を回避するための小

規模なものにとどまっており、輸出を再開させるほどの大きな動きにはつながらないであろう。また、これまで設備投資を抑制してきたこともあり、国内の生産能力にも限界がある。

       景気下振れリスクは海外経済の動向

年度ベースでの実質GDP成長率は、2017年度の前年比+1.7%に対し、18年度は同+1.1%と4年連続でプラス成長を達成しよう。景気の拡大ペースが大幅に高まることはないものの、拡大期間の更新は続く見込みである。

景気の下振れリスクとしては、第一に、世界経済の悪化が挙げられる。北朝鮮や中東などにおける地政学リスク、米国や欧州の政治の混乱、中国の景気失速懸念など、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化すれば金融市場の混乱を通じて世界経済が悪化、日本

からの輸出が落ち込む懸念がある。同時に、リスクオフの動きが強まり、急速な円高が進むことも考えられる。

また、人手不足の深刻化によって一部の業種で供給制約に直面しており、この動きが広がるリスクがある。ビッグデータの利用、働き方改革推進、AI、lOTなどの技術革新の進展によって生産性を向上させる取り組みが官民を挙げて行われているが、実際には試行錯

誤を繰り返した上で徐々に効果が現れるものであり、短期間で成果が上がることは期待できない。五輪需要の盛り上がりとともに、2018年は人手不足感が加速し、景気拡大を阻害する懸念がある。 


清水コンサルティング・グループ株式会社
                        代表取締役 社長兼CEO 清水一郎

 

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